骨粗鬆症について
2025年09月29日
私たちの体の中では古くなった骨を壊して新しく作り直す骨のリモデリングが行われており、若い人であれば3~4年で体全体の骨が入れ替わっているといわれています。これは古くなった骨を壊す破骨細胞と、新しく骨を作る骨芽(こつが)細胞の働きによるものです。この破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ってしまい骨がスカスカになるのが骨粗鬆症の状態です。
骨粗鬆症の原因には閉経後骨粗鬆症といった原発性骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症やステロイド、生活習慣病による続発性骨粗鬆症などがあります。骨粗鬆症になると骨折を生じて寝たきりや心肺機能低下といった合併症、疼痛によりQOL(生活の質)やADL(日常の生活動作)が低下してしまい、死亡リスクが上昇してしまうことが問題となります。
骨粗鬆症・骨折予防のためには食生活や環境整備、運動が重要です。食事はバランスよく摂取することが基本で、リン、食塩、カフェイン、アルコールの過剰摂取は控えるように心がけ、カルシウムは1日あたり700~800mgの摂取が勧められています。骨粗鬆症があっても転倒しなければ骨折を生じにくいので、転倒を防ぐ住まいづくりも重要です。外出時は動きやすい服装で。日光をあびながら30分ほどの散歩をすると皮膚でビタミンD(消化管からのカルシウムの吸収促進作用あり)が作成され、筋力訓練にもなるので一石二鳥です。
骨粗鬆症の薬にはカルシウムやビタミンD以外に、破骨細胞の働きを抑えるものや骨芽細胞の働きを改善させるものがあります。近年、骨粗鬆症の注射薬は著しく進化しており、治療効果も高いため、重症な骨粗鬆症の方には使用をお勧めしています。注射薬には毎日もしくは週に1・2回、インスリンのように自己注射するものや、月に1回、半年に1回、1年に1回病院で注射するものなどがあります。既往症によっては使用できない薬もありますので、かかりつけの医師とご相談のうえ検討して下さい。健康に長生きできるように骨粗鬆症による骨折予防に努めましょう。
(整形外科 部長 東 努)
