胆道閉鎖症と早期発見のための便色カラーカード

大分県立病院ニュース

2025年08月26日

胆道閉鎖症

 胆道閉鎖症は、肝臓で作られた胆汁が通る管(胆管)が生後に消失する疾患です。生後まもなくから月齢1~2頃までに便色が薄くなることや、黄疸が出てくることで気付かれます。原因は不明ですが、1万出生に1人の割合で見られ女児に多いです。

 治療は肝外胆汁流出路を確保することであり、肝門部空腸吻合術という手術が一般的です(図1)。日齢とともに肝内胆汁うっ滞が進行し、肝実質病変・肝内胆管の荒廃が進むため、できるだけ早期に手術をおこなうことが勧められています。術後の胆汁流出が悪いと、早期に肝不全に至り肝臓の移植を考慮する必要があります。

便色カラーカード(便色カード)

 胆道閉鎖症の黄疸は新生児黄疸が一時弱まったり、引き続いて見られたりすることがあるため、診断やその後の治療が遅れることが問題となります。また軽度な黄疸の段階では気が付かれにくいことも診断が遅れる原因となります。現在、この胆道閉鎖症の早期診断を目指し、便色の変化をご家庭でも気付いてもらえるように、2012年度から母子手帳に便色カラーカード(図2:胆道閉鎖症診療ガイドライン第1版より)が挟み込まれるようになりました。便色カラーカードの導入により、導入以前より早期に肝門部空腸吻合術を施行できたという報告が国内外からもたらされており、黄疸を伴わず自分の肝臓で過ごしている児が増加したという報告もあります。
 便色が薄くなった(1番~3番)ときには早めにかかりつけの小児科や当科への受診をしてください。

(小児外科 副部長 内田 康幸)

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