「好酸球性副鼻腔炎」とは? ~難治性で再発しやすい副鼻腔炎~
大分県立病院ニュース
2025年07月28日
好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は、鼻の中に多数の鼻茸(ポリープ)ができ、粘り気の強い鼻水や鼻づまり、匂いがわからなくなる嗅覚障害などの症状をきたす難治性の慢性副鼻腔炎です。これは従来の細菌感染による副鼻腔炎とは異なり、白血球の一部である「好酸球」という特定の免疫細胞が過剰に反応することで起こるタイプの炎症で、2015年に国の指定難病に登録されました。
原因は不明ですが、アレルギー体質や気管支喘息、解熱鎮痛剤(NSAIDs)不耐性、アスピリン喘息との関連が高いとされ、成人になって発症する傾向にあります。通常の抗生物質は効果がなく、ステロイド治療(内服薬、点鼻薬)や内視鏡手術が治療の中心となりますが、最近ではステロイドの長期使用による副作用が問題になることが多く、内視鏡手術をおこなうことが多くなっています。手術後も再発しやすく、術後6年間で約半数が再発すると言われているため、術後も定期的な受診や内服加療、鼻洗浄等によるコントロールが重要です。近年では、タンパク質の一種であるIL-4/IL-13やIL-5を標的とする生物学的製剤(デュピルマブ、メポリズマブ)が保険適用となり、術後の再発抑制や鼻茸縮小に有効とされています。
当院でも好酸球性副鼻腔炎に対する治療を積極的におこなっています。なかなか治らない鼻水や鼻づまり、嗅覚障害といった症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科へご相談ください。
(耳鼻咽喉科 主任医師 松永 崇志)
