腎臓がんに対する手術支援ロボットを用いた腎温存手術について

大分県立病院ニュース

2025年06月27日

 腎臓がんは日本で1年に約2万人が診断されるがんで、ほかのがん同様、根治には早期発見が重要です。検診で偶然発見される場合が多く、発見時はほとんどの方が無症状で診断時にはCTなどの画像検査を追加します。腎臓がんの確率が高いと判断された方は根治目的で治療をおこないますが、手術が最も一般的な治療です。診療ガイドライン上でも大きさ4cm以下の腫瘍に関しては腫瘍とその周りの一部のみ削除し、腎臓を温存することで腎機能を保護しながらがんをコントロールすることが推奨されています。この手術は当初は開腹手術でしたが、その後腹腔鏡手術、近年では手術支援ロボット(図1)を用いた腹腔鏡下での手術に移行してきています。当科では2023年末から手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術をおこなっています(図2)。

 手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術は拡大視野を用いた鮮明な3D画像のもとで、直感的かつ人の手を超えた可動域と手振れ補正を利用することができ、がんのコントロールを改善し、合併症の発生確率を減らすという利点が報告されています。このことから、腎臓がんに対する手術支援ロボットを用いた腎温存手術は年々増加しています。ただし腫瘍の位置や大きさにより、4cm以下の大きさの腫瘍すべてが腎温存手術になるとはいえないところもあります。
 腎臓がんは腎温存手術ができる程度で発見されて適切に治療をおこなえば5年生存率は90%以上で、予後は非常に良好ながんです。もし腎臓がんの疑いがあると言われたときは怖がらず、遠慮せずに泌尿器科を受診してください。

(泌尿器科 部長 友田 稔久)

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