前立腺がんに対する手術支援ロボットを 用いた腹腔鏡下手術に関して

大分県立病院ニュース

2023年07月28日

 前立腺がんは日本人で近年非常に増えているがんです。2020年には男性が罹患するがんのうちで2番目に多くなっており、背景には社会の高齢化、食生活の欧米化、検診など診断法の進歩が挙げられています。ほかのがんと同様に早期には症状が殆どなく、根治には早期発見が重要とされています。

 検診などが契機となって受診された方の中で、必要な方に対しては前立腺生検という組織検査を行って前立腺がんの有無を確認します。前立腺がんとの診断になった方は画像検査を行い、転移がなければ根治が期待できる治療を行うことができます(図1)。

 その中のひとつとして手術で前立腺を摘出することがあり、当初は開腹手術が行われておりましたが、その後腹腔鏡を用いての手術や手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術が行われています。当科では2016年から腹腔鏡下手術を行っていますが、今年後半には手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術を導入することになりました(図2)。

 手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術は腹腔鏡下手術であることは従来と変わりませんが、拡大視野を用いた鮮明な3D画像装置を備えており、また直感的かつ人の手を超えた可動域と手振れ補正があることから、がんのコントロールを改善し合併症の発生確率を減らす可能性があるという利点も報告されています。現在日本で行われる前立腺がんの手術の80%程度は手術支援ロボットを用いて行われています。入院期間や手術時間などは現在行われている腹腔鏡下手術と大きく変わりありません。

 手術以外にも放射線治療などが根治につながる可能性がある治療になりますが、10年以上の生存が見込める方には手術を行うメリットがあるといわれています。もし前立腺がんの疑いがあると言われたときは怖がらず、遠慮せずに泌尿器科を受診してください。

(泌尿器科 部長 友田稔久)

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