新型コロナウイルスの抗体検査

大分県立病院ニュース

2021年07月30日

 新型コロナウイルスの検査法として、ウイルスの蛋白質を検出する抗原検査と、遺伝子を検出するPCR検査があります。この検査で陽性になった方々が集計されて、「全国の今日の感染者数」といった形で報道されています。
 これとは別に新型コロナウイルスに対する抗体検査が時折、報道されるようになりました。体内に侵入したウイルスを攻撃するために作り出される抗体の有無を調べるものです。
 新型コロナウイルスに対する抗体は2種類あります。球状のウイルスの丸い部分に相当するヌクレオカプシド(N)という部分に対するN抗体と、ウイルスの表面から棒状に飛び出すスパイク(S)という部分に対するS抗体です。ウイルスがヒトの細胞に感染する際に、最初に働くのがこのスパイクです。
 2020年の夏ごろまでは、感染した経験があるかどうかを調べることを目的に血液中のN抗体が検査されていました。その後、ファイザー社やモデルナ社のワクチンを接種すると体内にS抗体ができることから、S抗体検査に注目が集まるようになりました。
 感染阻止力をもつ抗体を中和抗体と呼びます。S抗体の多くが中和抗体として働いていると想定されるので、S抗体検査がワクチン効果の指標になると期待されています。

 右の図は、ファイザーのワクチンを接種した人のS抗体の変化です。2回接種することでS抗体は飛躍的に増加しています。この抗体がいつまで維持されるか、世界中で研究が進められていくでしょう。
 なお、現時点では抗体検査は通常診療では測定されておらず、研究・調査の一環と位置づけられています。

(臨床検査科検査研究部 部長 加島 健司)

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