大腸内視鏡検査の適正な検査間隔について

大分県立病院ニュース

2021年07月30日

 日本のがん死亡者数において、大腸がんは男性で第3位、女性では第1位で増加傾向にあります。大腸内視鏡検査を受けた患者さんから、「今後検査はどれくらいの間隔で受けたらよいのか」という問い合わせを頂くことが多いです。この点に関連して、2020年に日本消化器内視鏡学会が作成した「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」の内容を簡単に紹介します。

 医学における「スクリーニング」とは対象の患者を選別することを意味しており、日本の対策型検診においては、40歳以上を対象にスクリーニングとして便潜血検査免疫法が市区町村単位で実施されています。「サーベイランス」とは調査・監視することであり、大腸内視鏡検査を受けた患者さんについて適正な検査間隔を設定することにつながるものです。
 大腸内視鏡検査にあたっては前処置の下剤を飲むことや、稀ながらも穿孔や出血などの偶発症が起こりえることには注意が必要ですが、腫瘍性病変(特に腺腫)に対する内視鏡的切除(図1)がその場で可能です。大腸がん罹患・死亡に関して一定の抑制効果があると考えられます。その検査間隔については、おおむね以下のように提案されています。

▶初回の大腸内視鏡検査を受ける◀

  1. 腫瘍性病変がない場合➡定期的な便潜血検査免疫法による検診

  2. 2個以内の腺腫を認め、内視鏡的切除を行った➡3~5年以内の大腸内視鏡検査

  3. 3~9個の腺腫を認め、内視鏡的切除を行った➡3年後の大腸内視鏡検査

  4. 10個以上の腺腫、またはそれ以上の異型度の腺腫、早期がんを内視鏡的に切除した➡1~3年後の大腸内視鏡検査

  5. 大腸がん術後➡術後6か月~1年目の大腸内視鏡検査

参考文献
大腸内視鏡検査スクリーニングとサーベイランスガイドライン 2020,日本消化器内視鏡学会

 

(内視鏡科 副部長 小野 英樹)

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