月経困難症の最近の話題~生理痛でお困りですか?~

大分県立病院ニュース

2020年10月28日

 毎月毎月やってくる生理。生理痛で困ってはいませんか?本人が困っていれば、程度はどうであれ、月経困難症と考えてください。生理痛は女性を忍耐強くさせる、痛み止めを使うと癖になる、などと間違った迷信がたくさんあります。鎮痛剤は早めに使う方が効果的です。我慢せずに早めに使いましょう。

 月経困難症の原因となる疾患のうち、子宮内膜症は特に注意が必要です。良性の疾患ですが、生理の度に増殖・進行します。卵巣がん・不妊症・脳梗塞や心血管系異常の発症に関わっていて、前置胎盤や常位胎盤早期剥離などの産科合併症も増えると報告されています。生理痛のある方は、いずれ子宮内膜症を発症するリスクが高く、早めの治療開始がお勧めです。

 最近は生理痛に効果のあるホルモン剤の種類が増え、治療の選択肢も増えました。表に、月経困難症で使用されるホルモン製剤を示します。特にLEP製剤は、学業や運動に専念する思春期女子にも使用しやすいお薬です。経口避妊薬(ピル)と混同されやすいですが、月経困難症の治療薬としてより安全に、効果的に改良された保険適応のあるお薬です。

 合併症の有無や体重、生活歴、診断名により使用できるお薬は変わってきます。生理痛でお困りの方はかかりつけの産婦人科を受診して、自分に合った治療を選択してもらってください。

月経困難症に使用されるホルモン製剤

                             
分類 商品名例 効果・効能例
LEP製剤
(低用量エストロゲン・プロゲステロン配合薬)
ヤーズ・ルナベルULD・ジュミーナなど 月経困難症
黄体ホルモン ディナゲスト
ジェノゲスト
子宮内膜症
子宮内膜症・子宮腺筋症による疼痛
GnRHアゴニスト リュープリン・スプレキュアなど 子宮内膜症
子宮筋腫の縮小・症状改善
GnRHアンタゴニスト レルミナ 子宮筋腫による過多月経
レボノルゲストレル
放出子宮内システム
LNG-IUS(ミレーナ) 避妊
過多月経・月経困難症
男性ホルモン ボンゾール 子宮内膜症

(婦人科 林下千宙)

※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。

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