病理標本の遺伝子の品質保持

大分県立病院ニュース

2026年02月03日

 病理検査室では体の一部の組織を調べて、病気の原因や腫瘍の種類を調べています。その組織には遺伝子が含まれており、現在ではその遺伝子情報は治療方針の決定などの重要な役割を担うようになってきました。ただ、遺伝子は非常に壊れやすく、その取扱いによって、重要な検査ができなくなりますので、取り出された組織は非常に慎重に扱わなければなりません。

 腫瘍などを体外に出した時にはなるべく速やかに中性ホルマリンで固定することが勧奨されています。また、そのホルマリンの固定時間が72時間を超えても遺伝子がバラバラになったり、特有の化学修飾を受けて本来を異なる遺伝配列になりますので、適正な固定時間を守る必要があります。また、RNAという遺伝子は熱に弱いため全工程60℃以内で病理標本を作製しなければなりません。

 当院では手術室から病理検査室への速やかな搬送と迅速なホルマリン固定をおこなっています。連休を挟みますと固定時間が問題になるので、腫瘍を一部切り取って、別工程で固定し、遺伝子に好ましい標本作製をおこなっています。また、自動パラフィン浸透包埋装置の条件設定を工夫して、60℃以下の作業工程を確立しており、私たちは遺伝子により優しい病理検査室を目指しています。

(臨床検査科病理部 医師 草場 敬浩)

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