胃がん治療最前線 コンバージョン手術とロボット支援手術

大分県立病院ニュース

2023年03月30日

 胃がんは日本人にとって身近ながんであり、1年間に約13万人(男性9万人、女性4万人)が新たに胃がんと診断されています。現在、その半分以上は早期がんで発見されており、早期胃がんに対する内視鏡切除や手術による治療成績は良好です。しかし、肺や肝臓などへの転移や周囲臓器への広がりにより手術が難しい場合もあります。

 近年、胃がんに効果のある抗がん剤が続々と開発されており、これらの薬物の組み合わせにより外科切除が困難ながんを縮小させ手術ができるようになる患者さんも増えてきました。このような薬物療法によって転移巣などを縮小あるいは消失させ、手術を可能にする治療はコンバージョン手術と呼ばれています。この治療により、病状が進行したがんでも完治できるケースが出てきており、当院では消化管内科と外科の十分な協力体制のもとにコンバージョン手術を進めています。

 一方で、手術できる患者さんに対しては、体への負担をより少なくするために従来の腹腔鏡手術をさらに進化させたロボット支援手術が行われるようになっています。特殊なカメラで手術部位を拡大し3Dのハイビジョン画像で観察することにより細かな解剖まで分かりやすくなり、手振れのしないロボット鉗子を操作することで、より精密な手術を確実に行えるようになりました。当院でも2023年度からロボット支援手術を開始できるよう準備を進めているところです。

(外科 副部長 安田 一弘)

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