腎盂(じんう)尿管移行部狭窄症による水腎症に対する腹腔鏡下手術に関して

大分県立病院ニュース

2021年09月30日

 水腎症は腎臓から膀胱までの間でおしっこの通りが悪くなって腎臓が大きくなる病態ですが、その中の原因の一つに腎盂尿管移行部狭窄症という病態があります。胎児期のエコー検査で発見されることも多く胎児1,000人のうち1人くらいに存在するといわれています。出生後自然によくなることも多くあるのですが、おしっこに細菌がついて高熱を出すことを繰り返したり、痛みを繰り返したり、あるいは症状はなくても腎臓の機能が徐々に悪くなって治療を行わなくてはならなくなったりする方もおり、治療を行う時期は出生してすぐの場合も、大人になってからの場合もあり、特に大人の場合は悪性腫瘍などによる水腎症でないことを確認してからの治療になります。

 水腎症の程度は4つに分類されます(図1)が、程度だけで治療適応になることはありません。図2に示しますように症状がある方、もしくは無症状であっても腎臓の機能が悪くなる方が治療適応になります。

 治療としては外科治療になり、狭くなっている腎盂尿管移行部を切除し改めて腎盂と尿管を吻合する腎盂形成術(図3)という手術が適応になり、手術による改善が95 %程度の確率で認められます。おなかを切って行う手術も、腹腔鏡下での手術もありますが当科では3~4歳以上の方であれば腹腔鏡下の手術を検討することが多くなっています。利点としては傷が小さくなる(図4)ので術後の回復が早いことがありますが欠点としてやや手術時間が長くなる傾向があります(表)。

 手術が必要になることがある病気ですが、手術によってかなりの改善が期待できる病気でもありまた腹腔鏡下手術により体の負担も軽くなってきている病気です。もし水腎症と言われたときは怖がらず、遠慮せずに泌尿器科を受診してください。

(泌尿器科 部長 友部 稔久)

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