特殊災害(CBRNE災害/テロ)

大分県立病院ニュース

2021年01月28日

 令和2年11月19日に大分県国民保護共同実働訓練が行われました。目的は特殊災害に対する多種機関(行政、警察、消防、自衛隊、医療など)の連携強化です。特殊災害とは、自然災害以外の災害の呼称であり、主にCBRNE災害・テロを称することが多く、化学工場や化学物質運搬中の事故、原子力発電所事故、大規模森林火災、航空機事故、トンネル事故などがあり、テロリストによる攻撃が潜んでいる可能性が高いことが予想されます。日本では平成7年3月に発生した地下鉄サリン事件が代表的な特殊災害であり、これを契機にテロ対策を行うようになりました。

 自然災害との大きな違いを3つ挙げると、個人保護、除染、トリアージがあります。個人保護については、放射線、生物兵器や化学兵器に対して自分自身がどのような災害で(核なのか生物兵器なのか化学兵器なのか)、どこで(災害現場そのものや病院)、どのような傷病者(除染前なのか後なのか)と接するのかで大きく変わってきます。宇宙服のような保護をする場合もあれば帽子、マスク、手袋、ガウンで良いこともあります。除染は、使用された化学兵器、生物兵器、放射性物質や爆発物が人体に付着した場合に衣類を脱ぐことや水で洗い流す作業のことで、衣類を脱ぐことで90%以上が除去できるとされています。除染前の傷病者に医療を施すことは非常に困難であり医療者の保護が困難となります。トリアージに関しては、使用もしくは暴露された物質によっては拮抗薬があるため拮抗薬の使用による状態の変化がトリアージの中に入ってきます。自然災害では黒(死亡もしくは救命困難)に対しても拮抗薬があれば投与を行なった上で再トリアージが必要となります。

 実際特殊災害に遭遇する可能性は低いものの、発生した場合に多くの人の生命が危険に晒されるため、従来訓練してきた自然災害以外にもこのようなテロ災害に対する訓練が現在行われています。
 大分県立病院の災害医療支援チームの隊員もこのような訓練に参加し有事の際に備えています。

(救急救命センター 副部長 二日市琢良)

※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。

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