変形性股関節症について

大分県立病院ニュース

2024年01月31日

 運動器の障害による要介護の状態、および要介護のリスクが高い状態をロコモティブシンドローム(略してロコモ)と呼びますが、今回は股関節の障害について詳しく説明したいと思います。

 股関節の障害をきたす主な疾患には変形性股関節症、関節リウマチ、大腿骨頭壊死などがあります。その中で最も多いのが変形性股関節症です。我が国での単純X線像による変形性股関節症の有病率は1~4%程と報告されており、女性では2~7.5%と、特に女性に多いと言われています。症状としては、初期には動き始めに股関節(症例によっては膝関節まで)に痛みを感じるようになり、徐々に痛みのため歩行が困難となったり股関節の可動域が制限されてきます。

 治療としては痛み止めの内服や日常生活で股関節に負担がかからないよう階段昇降を避けたり、杖や手すりの使用、減量、股関節周囲の筋力訓練などの保存療法を行いますが、症状が改善しない場合は手術を検討します。手術には年齢が若い方で関節軟骨が残っている場合は骨切術という関節温存手術が適応になる場合もありますが、関節軟骨が消失した末期股関節症の方に対しては除痛効果の高い人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty)(以下、THA)(図1)が有用です。
 本邦でのTHA手術件数は右肩上がりで増えており、最近では年間6万件以上の手術が行われています。THAの有効性については世界で最もよく知られた医学雑誌であるLancetにも“整形外科における20世紀を代表する術式”と掲載され、多くの股関節障害に苦しむ患者さんに福音をもたらしたと報告されています。

 THAの構造は骨盤側のカップ、大腿骨側のステム、ステムの上方に装着した骨頭、カップと骨頭の間の高分子ポリエチレンでできたライナーで構成されます(図2)。
 大変有効なTHAですが、感染、脱臼、深部静脈血栓症、神経麻痺、大血管障害や人工関節周囲の骨折といった合併症もあります。長期的には人工股関節のゆるみや破損、摩耗がありますが20年以上使用できる場合が多くなっています。手術のための入院期間は2~3週間が一般的です。
 股関節痛にお悩みの方は整形外科を受診し、早めに適切な治療を開始してもらい、健康寿命の伸延に努めて下さい。

(整形外科 部長 東 努)

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