緩和ケアとは

大分県立病院ニュース

2023年11月28日

緩和ケアと聞くと、“がんの終末期にうけるもの”というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 しかし、がんによる苦痛には、①がんそのものや治療の副作用による身体的苦痛、②がんと告知された時や転移・再発が分かった時にうける衝撃などの精神的苦痛、③経済的な問題、仕事や家庭への影響、今後の人生設計が変わってしまうなどの社会的苦痛、④『なぜ自分が・・・』、『私は何か悪いことをしたのか』など人生そのものの意味や、自分の存在意義などを考えるスピリチュアルペイン、の4つの側面から構成される全人的な苦痛(図1)があるといわれており、それらの苦痛は決して終末期のみに認められるわけではなく、がんの診断時から生じます。

 そのため、全人的な苦痛に対する緩和ケアは、がんの診断時から必要であると言われています(図2)。

 緩和ケアセンターでは、患者さんとご家族が抱える問題に早期から対応できるように、がん看護専門看護師が、がんの診断時から医師の説明に同席し、多職種・他部門と調整の上、それぞれの患者さんに必要な支援を届けられるよう努めています。
 また、がん診療に携わる医療従事者が基本的な緩和ケアを行うための教育、院内および地域での緩和ケアの普及活動、切れ目のない緩和ケアを提供するための地域の病院や在宅医療機関との連携も行っています。

 強い痛みが続く、気持ちが落ち込み眠れない、などの症状が続く患者さんに対しては、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・公認心理士・ソーシャルワーカーによる緩和ケアチームが、主治医や多職種・他部門と連携し、苦痛の緩和を行っています。

(緩和ケアセンター がん看護専門看護師 吉見 千絵)

この記事はお役に立ちましたか?

お問い合わせはこちら

気になるキーワードを入力してください。