赤ちゃんの睡眠リズム

大分県立病院ニュース

2023年04月28日

 生まれたばかりの赤ちゃんは、3~4時間おきに起きて母乳やミルクを飲みます。1ヶ月健診のとき睡眠不足のご両親から「いつ頃になったら、夜に長く眠るようになりますか?」と聞かれますが、赤ちゃんの睡眠リズムがどのように変化していくかをご存じでしょうか。

 実は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間、体の動きや心拍数に約24時間のリズム(サーカディアン・リズム)があることがわかっています。このリズムは、お母さんから胎盤を経由して伝えられるホルモン(メラトニン)や栄養のサーカディアン信号によって調節されています。しかし、赤ちゃんが生まれて子宮外にでると、お母さんからのサーカディアン信号が途切れてしまうため、約3~4時間周期の短いリズムが観察されるようになるのです。赤ちゃん自身のサーカディアン・リズムが確立するのに3~4か月はかかります。

 この間、赤ちゃんの未熟なシステムを母体信号と同じようにサポートする方法はいくつかありますが、最も影響が大きいのは光環境です。赤ちゃんの生物時計に24時間のリズムを刻ませるには、明暗環境を整えることが重要です。常に明るい環境にするのではなく、夜はしっかりと暗くしてあげましょう。また、母乳も大事な役割を果たしています。メラトニンは睡眠誘導物質であり、大人は主に夜間に分泌され、母乳にも移行します。夜間にメラトニンを多く含んだ母乳で保育された赤ちゃんは、ミルク保育の赤ちゃんよりも夜間の睡眠が促進されるという研究結果が報告されています。

(第二新生児科 部長 赤石睦美)

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