ここまで進化した内視鏡による早期がんの治療法

大分県立病院ニュース

2022年03月31日

 内視鏡検査の普及、精度の向上により、早期の消化管がん(食道、胃、大腸)が多く発見されるようになりました。当科では早期に発見され、内視鏡治療による根治を目指せる消化管がんに対して積極的に内視鏡治療を行っております。

 内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層切開剥離術;ESD)は臓器自体及びその機能を温存することが出来、高い生活の質を維持することが出来る治療法です。ただし、すべての患者さんが治療の対象となる訳ではなく、がんの根深さ(深達度)や大きさ等から治療の適応となる患者さんを選別しなければなりません。発見が早ければ早いほど、その適応となる可能性は高く、適応となる患者さんの多くは無症状です。

 ESDの方法は、まず病変の範囲を適切に診断し、病変周囲に切除の目印を付けます(図1)。次に病変直下に薬液を注入し、十分病変を浮き上がらせ(図2)、電気メスにて先程の目印を指標に周囲の正常な部分から切除します(図3)。その後病変の裏側を電気メスにて剥がし取って(図4、図5)止血し(図6)、治療終了です。切除した病変に対して顕微鏡検査を行い、根治出来たかどうかを判断します(図7)。残念ながら根治と判断出来なかった場合には、追加治療(手術、抗がん剤、放射線治療)について検討します。当科でも年間60件程度の治療が行われており、徐々に増加しております。

 無症状のうちに検査を受けて早期発見、早期治療へつなげましょう。

(消化器内科 副部長 庄司 寛之)

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