新型コロナウイルス感染症(COVID-19) ~重症化が生死の分かれ目~

大分県立病院ニュース

2022年02月28日

 2019年12月、中国武漢で謎のウイルス感染症の流行が初めて報告され、2020年1月には全世界に広まりました。日本では2020年1月ダイヤモンドプリンセス号の船内での集団感染が起こり、時期を同じくして日本中に蔓延し、2020年2月にこの謎のウイルス感染症はCOVID-19感染症と命名されました。

 当初は治療法がなく、重症患者は人工呼吸器やECMOを使用せざるを得ない状況となり、多くの方が命を落とされました。みなさんの身近な親族、友人、知人にもこの病に感染した方はいらっしゃると思います。しかし、抗ウイルス薬であるレムデシベル、ステロイド薬のデキサメサゾン、免疫機能調整薬のバリシチニブなどこれまで他の疾患で使用していた既存薬の有効性が確率したこと、およびネーザルハイフロー治療の普及により、救命できる患者が明らかに増えました。

 2021年夏には第5波に見舞われ、その原因ウイルスはデルタ株と命名され、それまで若年者には感染しにくいと思われていたものが、若年者の間で流行し大問題となりました。一方、第5波では高齢者患者数がそれほど伸びなかったことは朗報です。第5波直前に始まったワクチン接種の効果がみられたと推測されています。

 第5波で終焉すると思われていましたが、12月からオミクロン株の流行が始まり、日本でも市中感染やクラスターが確認されました。この株はこれまでのものと比較して、人にうつりやすいが、重症化はしにくいといわれています。しかし、患者さんが激増すれば、重症患者の数も増えてしまいます。最近では重症化を予防することが期待される経口薬(モルヌピラビル)の使用が承認されました。この薬により第6波が来ても重症患者が増えないことが期待されています。

 この2年、我々はこの病気に翻弄されてきました。しかし現在は、治療方針がある程度定まり、新薬の開発も進んでいます。また、ワクチンの効果がある程度あることもわかってきました。感染しないことが一番ですが完全に防ぐことはできません。日常生活で三密を避けること、ワクチン接種を受けることが重要ですが、早期診断・治療が重症化させないポイントです。感染したかなあと感じた時にはできるだけ早くお近くの医療機関に相談してください。

(呼吸器内科 部長 安東 優)

この記事はお役に立ちましたか?

お問い合わせはこちら

気になるキーワードを入力してください。