新しい外来化学療法室のご案内

大分県立病院ニュース

2020年07月02日

 がん治療の大きな柱のひとつである化学療法は、新規薬剤が次々に開発され、目覚ましい進歩を遂げています。また、嘔吐などの副作用を軽減する支持療法も進歩したため、多くの患者さんが外来で治療を安全に受けられるようになりました。入院せずに外来で化学療法を行うメリットは家庭生活、社会生活を行いながら治療を続けることができる点であり、精神的にも経済的にも負担の軽減につながります。
 当院の外来化学療法室は2005年11月に9床で開設し、着実に実施件数を伸ばしてきており、2019年の総実施件数は4,518件(月平均376件、1日平均18.5件)でした(グラフ1)。

 病院の大規模改修工事に伴い、2020年3月30日に増築棟1階に移転して20床に拡充リニューアルいたしました。
 7床のベッドと13床のリクライニングチェアを新調し、広く明るい環境で治療を快適に行えるようになりました(写真①②)。

 また、外来化学療法室専用の無菌製剤室(ミキシング室)を併設し、より安全でスムーズな調剤が行えるようにしました(写真③)。
 3室の診察室に加えて、面談室を2室設置しました。面談室をフル活用して、待ち時間を利用した患者さんや家族への薬剤師による服用法や薬効・副作用などの説明(写真④)、食欲不振のご相談に対する栄養士による栄養相談を行っていきます。また、治療と仕事の両立に不安をお持ちの患者さんには、がん相談支援センターの看護師やソーシャルワーカー(社会福祉士)による「出張ハローワーク」などの就労や就業継続に関する相談をご案内することもできます。

 従来型の殺細胞性抗がん剤に加えて、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新薬が次々に登場しており、がんに対する治療法は多様化しています。新薬は、薬剤ごとに特有の有害事象が見られるので、化学療法における診療・看護はさらに複雑化し、専門的な知識と各医療スタッフの協働が要求されます。当院でも新薬を導入した治療法を実施しており、外来化学療法室も他部門を巻き込んで、質の高いチーム医療の実現、提供を目指しています。 また、患者さんに安心して外来化学療法を受けていただけるように、地域の中核病院や診療所などの医療施設との連携をさらに深めていきたいと考えています。特に遠方から通院されている患者さんや、交通手段の乏しい患者さんに対して、食欲不振時の輸液や、吐き気が強い場合の制吐薬の処方などをかかりつけの医療機関に相談するなど、治療中も住み慣れた地域でできるだけ普段どおりの生活を送れるように配慮していきます。

(外来化学療法室 血液内科部長 大塚英一)

※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。

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