下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)について

大分県立病院ニュース

2020年01月01日

 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、足の血管(静脈)がぼこぼことコブ(瘤)になってくる病気です(図1)。
 女性に多く、妊娠出産を契機に発症することもあります。立ち仕事に従事している方も発症しやすく、また年齢とともに増加し70歳以上では75%(4人に3人)に認められるとのデータもあります。
 原因としては、足のくるぶしから足の付け根へ戻っていく大伏在(だいふくざい)静脈という血管(図2)があり、この血管についている、血液の逆流を防止するための弁が傷んでしまい、逆流を生じることによって発症します。

 症状としては見た目でわかる血管の瘤、足のだるさ、むくみ、こむら返り(つり)などがあります。ひどくなってくると皮膚の色素沈着(図3)、潰瘍を起こす場合もあります。
 治療および予防としては、長時間の立ち仕事をなるべく控える、寝る際には座布団等で少し足を上げて休むのがよいでしょう。また日中は弾性ストッキングという強めのストッキングで足の血流を心臓に戻りやすくするのもよいと思います。かくいう私も長時間の立位での手術時は弾性ストッキングを着用しており、手術後の足のむくみやだるさが軽くなっていると思います。

 では手術による治療法ですが、以前はストリッピング手術という大伏在静脈を引っこ抜くという(すこし野蛮な・・・)手術が主流でした。しかし、現在はレーザーもしくはラジオ波を用いた血管内治療(静脈焼却術)が行なわれており、当院ではラジオ波を用い大伏在静脈にカテーテルにて血管内焼却術を施行しています(図4)。日帰り手術を行っている施設もありますが当院では安全を期し、2泊3日での治療を行っています。静脈瘤自体は命に関わる悪性疾患ではありませんが、気になられる方は当科外来にご相談ください。

図、写真はコヴィディエンジャパン株式会社より提供

(心臓血管外科 副部長 久田洋一)

※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。

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