ICG蛍光法を用いた最新の肝臓がん腹腔鏡手術

大分県立病院ニュース

2019年04月23日

 近年、C型肝炎ウイルス治療の進歩によりウイルス性の肝臓がんは減少傾向ですが、肥満や糖尿病に伴う肝臓がんは増加傾向です。また、大腸がんなどからの転移性肝臓がんも増加傾向です。当院では、年間60-70例と大分県内では最も多くの肝臓がん手術を行っています。

 肝臓がんの手術方法は、①開腹手術②腹腔鏡手術に大別され、開腹手術は従来のお腹を大きく開けて行う手術です。肝臓は人体最大の臓器で、開腹手術では腹部を20~30cm切る必要があり(図1左)、患者さんに負担がかかります。近年、この負担を軽減しようと腹腔鏡手術が普及してきました。腹腔鏡下肝切除術は、まず2~3センチの小さな傷を複数箇所開けます(図1右)。その一つにカメラを挿入して、モニターを見ながら、他の傷に長い棒状の専用器具を挿入してマジックハンドのように動く鉗子を使って手術します。小さな傷で済み術後の痛みも少ないため体への負担が少なく、早期退院が可能です。当院では大分県内でもいち早く2008年に腹腔鏡下肝切除術を導入し、近年では肝臓がんの約2/3の手術は腹腔鏡下に行なっています。また、2017年に最新の腹腔鏡手術システムを導入し、より鮮明な画像を見ながら安全で精密な腹腔鏡手術ができる環境を整えています。

開腹手術では大きな切開が必要だが、腹腔鏡下手術では小さな傷で手術が可能となる。

 腹腔鏡手術では、直接手で触れて腫瘍の位置を確認することが困難です。当院では最新の腹腔鏡手術システム導入に伴いICG蛍光法が可能となり、通常光では認識できないような肝臓がんを視認できるようになりました(図2)。これにより高精度で患者さんに負担の少ない肝臓がん手術を提供しています。

(上記の手術には患者さんの病状によって、適応の判断が必要となりますので、詳しくは当院外科の主治医にお尋ねください。)

通常光では不明瞭な肝腫瘍だが、ICG蛍光法では緑色の発光として確認でき、より確実な手術が可能となる。

(外科 川﨑淳司)

※掲載内容の詳細は各科外来・各病棟でお尋ねください。

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